かえる店長のもんぺとくわブログ

きれいな水と元気な土、天日干しで、お米を作っています。

菊池寛 恩讐の彼方に

今年の除草はラクになるはず、でした。

ところが、

ブログを40日近く書けなかったことで、もうおわかりかと思いますが、

厳しい現実が待ち構えていました。

四つある田んぼのうち、

トウデン(東田)とホクデン(北田)に「コナギ」が広がり始めたのです。

「アタシたち、びっしり化を目指します!」というように。

かえる番頭、愕然。

「去年はでぇへんかったやん…」。

かえる店長、唖然。

そう、去年はカンデン(関田)とキュウデン(九田)には現れました。

除草は田んぼに入って抜くしかないのですが、

絨毯のように敷き詰まり往生しました。

まさか、トウデンとホクデンにねぇ。

カンデンとキュウデンは合わせて6畝(約600㎡)でしたが、

トウデン1反3畝、ホクデン2反3畝で合わせて約3600㎡。

今年も空を仰ぐのか…。やれやれ。

 

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稲の根を拠り所に絡みつくコナギの根をていねいに…、

引っ剥がす!

 

とにもかくにも、

田植え後の毎週末にはみずかきで条間を歩きます。

ぺたし、ぺたし。

四つの田んぼを歩いたら、次は株間のコナギを手で抜きます。

日に日にコナギは大きく育ちます。ヒエも育つ。

ホクデンのいちばん長い所は、二条ずつ抜いて歩いて片道4時間。

水鳥がみずかきをブレーキにして、ばっちゃばっちゃ、じゃぶじゃぶと着水するのを、

じろりと横目に(稲を倒すな!稲を!)番頭は、

「週末だけで終わりますやろか」。

 

というわけで、7月3日〜8日、12日〜16日、朝6時から夜の8時まで、

ただただ、もくもくと抜きました。

三人のかえる丁稚も急遽番頭に呼び出され、

四反の田んぼ相手に果てしなく思える作業。

菊池寛の『恩讐の彼方に』が頭に浮かび、

主人公は一本の鑿を片手に21年、交通の難所である岩場に青の洞門を開削したんだっけ。

「21年もかかりませんわ」と冷ややかに番頭。

心中は「そんなんと比べて、どないしますねん!と、

きっと熱くむかついていたと思う。

皆に多謝。

 

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時折の一陣の風に稲がさわさわと騒ぐ。稲の音を聞くのは気持ちがいい。

風よりも強くなれと、一株ごとに声をかけてゆく