かえる店長のもんぺとくわブログ

きれいな水と元気な土、天日干しで、お米を作っています。

被害報告その2 刃物のような雹(2014年6月13日)

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今年顔を出したタラの若木です。

刃物で切られたように頭がすぱっとありません

 

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小屋の屋根もトタンが飛びました。

 

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柿の木の下に茂るミョウガもぼろぼろ

 

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葉が落ちて向こうが透けて見えるアジサイです

 

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南に向いた縁側のガラス戸です。

数枚が割れました

 

段々畑の被害調査に出向いた書生と丁稚が戻ってきました。

段々畑は山に沿うようにあります。

そのいちばん下段の畑の山際に一本のタラノキがあります。

今年、その周りにひょろひょろと若木が何本も現れ、

自然発生的にタラの林を形成しそうな景色に心底驚いたのですが、

その若木すべてが雹の被害を受けていました。

まるで刃物ですぱっと切られたような姿に、丁稚は青ざめていました。

 

この段々畑は少しずつ整備を進めていました。

一歩進んで二歩下がるような進捗状況ですが。

ジャングルのように視界を遮り、行く手を阻む笹とシキミと雑木。

笹は地面に網の目のように根を張り、伸び放題の蔓はシキミや雑木に絡み、

籠が編めるほどに太く育っていました。

山からは杉や檜の枝が落ちて層を成し、

厚く積もった落ち葉を覆う膝丈以上に伸びる雑草

落ち葉の下にはなんやかんやと人工物も見え隠れ。

真新しい上履きが土の中から現れたときには心臓が跳ねました。

 

「もと畑であったろう畑」に入るにはかなりの勇気が必要でした。

秋の彼岸が過ぎてから春の彼岸までの間。

冬眠か冬ごもりの時期…。

そういうわけで「畑の面影」を探し、「やや畑」になるまで幾星霜。

昨年、ようやく山際にたどりつき、

そこに一本のタラノキを見つけたときの丁稚の喜びようは言葉に尽くせません。

日の目を見たのか、今年、そのタラノキの周囲に若木がにょきにょきと。

丁稚の体も心も宙を舞いました。

ゆえにこのたびの落胆は尋常ではありません。

 

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雹による被害調査も始まりました

 

しかしながら、今回の被害でもっとも深刻なのは稲です。

稲は「分蘗(ぶんげつ)」といって、根に近い茎の関節から枝分かれします。

簡単にいうと、根元から次々と新しい茎が分かれて出てくるのです。

一本の苗からおよそ20本の茎が出ます。

頼りなさそうな一本の苗が、分蘗により株が太くなり、稲は扇を開いたような姿に育ちます。

扇形が理想です。

分蘗しすぎて葉が重なり合うと光合成に支障を及ぼします。

扇形だとそれぞれの葉に日が当たりやすいのです。

 

ただ、分蘗にはルールがあります。

最初に伸びた一本の茎に5枚目の葉が出てくる「五葉期」に、

3枚下の葉の脇から新しい茎が出ます。

茎の葉が6枚になると、そこから3枚下の葉の脇から新しい茎が出ます。

7枚目の葉が出ると、またそこから3枚下の葉の脇から茎が出ます。

最初に現れた新しい茎を「2号分蘗」と呼び、多ければ「20号」まで増えます。

こうして枝分かれした茎それぞれに穂がつきます。

分蘗が多ければ多いほどよいとは一概に言い切れませんが、

お米の収量は「分蘗」に拠るところ多しです

 

そこで、折れた稲の様子を見ていると、被害は一株の二割くらいに留まったように思えるのですが、

今が分蘗の時期と重なっていることを考えると事態はもっと深刻なのではないかと考えてしまいます。