三尾山伝説(2014年夏の某日)
霧海の里に三尾山という山があります。
名の通り、三尾山頂上と中三尾、前三尾と呼ばれる三つの「尾」があります。
眺める姿は三つの尾が連なるようで、裾野はゆったりと広がります。
登山口の駐車場から1時間ほどで頂上着。
ガイドブックにも紹介される日帰り登山で人気の山です。
じつは、登山道からはずれた所に地元でも知る者が少ない
(圧倒的多数は興味がないということですが)巌があります。
神座、神磐、天の磐戸、天空の磐ラピュタ、ノアの方舟の漂着点…。
それぞれが実しやかに語るものの
(好き勝手な空想にすぎないという指摘も)全貌は未だつかめず。
そこで、霧海の里では事の次第を確かめるべく、
住民の長である年寄を先頭になんとなく集まった有志と一匹が、
幻の巌を探して三尾山に分け入ったのでありました。
事前の下調べは当然、なく。
方角も「あのへん…、やったかなぁ」という年寄の勘だけが頼り。
持ってこいといわれた鋸や鉈で行く手を阻む木の枝を払い、
(この作業が本来の目的かと思わんばかりのフロンティア)
ようやく登り詰めた稜線は両腕を広げた幅もなく。
もちろん平らではなく。巌もなく。
さざれいしのいわをとなりて…の逆で、さざれいしがなおさざれて、
踏めばざらざらと流れる砂を踏み、どこにあるのさ天空の巌ラピュタは!
で、見当違いのところに出たかもしれないと肩を落とす年寄を後目に、
稜線をしばし行くと現れたのがこの巌でございます。
三尾山の頂上から西に流れる稜線に御座す巌
反対から見ると今にもローリングストーン
巌に上りました。てっぺんからの景色です
登山の途中、苔のむすまでというか、
ややもののけ姫かもしれない苔むした岩ごろごろの場所が何箇所かありました。
従来の登山口と頂上を往復するコースとは別に、
伝説の巌コースとして新道を設けたい年寄の企てに沿うような、
モノトーンのしぃーんとした景色でした。
ということで、
「第1回レジェンド探しほんとは新道開拓団が行く」は無事下山しました。
「一匹」は背中に担いで登りました。
稜線の両側は結構な斜面で、転がれば止まらず弾んで奈落の底。
笑ってピースなんてしていますが、ひきつっています