かえる店長のもんぺとくわブログ

きれいな水と元気な土、天日干しで、お米を作っています。

黒豆畑第一期工事(2015年4月18日)

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庭の草むらの中でチューリップが開きました

 

ようやく日中の気温も上がり、春の陽気を迎えた朝、

「おっしゃぁ!」と棚田の「開墾」に臨みました。

 

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まずは、四辺の草刈りから

 

モンペトクワには昔ながらの棚田が残っています。

未整備田。

長く何も作らず、モンペトクワがここで米作りを始めてからも七年、

自己保全という体裁をかろうじて維持してきた「もと田んぼ」です。

何も作らない田んぼや畑は一年ももたずにいたみます。

田んぼや畑の風景は「自然」のように目に映りますが、

それは人の手が入った「人工」であって、放っておくと元の姿に戻ります。

草が生え、法面は崩れ、溝は土に埋まってゆきます。

降った雨や溶けた雪が行き場所を失い、じゅるじゅるにもなります

その場所でもう一度、米や野菜などを作ろうとするとまずは治水。

土木工事が必要になります。

日頃、デスクワークが主のモンペトクワの者にとっては、

土木工事は「開墾」といいたくなるしんどい作業です。

自戒を含む。

 

ようやくにして今年、この棚田に鍬を入れることになりました。

丁稚の一人が「黒豆を作る!」

と、これまでにない意気込みを見せたことが始まり。

「もと田んぼ」で長年の自己保全だった場所を畑にするには、

土を乾かさなければなりません。

「わかったはんのかなぁ…」と不安げにこぼす丁稚もおります。

 

 

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写真の右を流れているのは山からのせせらぎ。

かつて田んぼであった頃はこの水を引いていました。

田面よりも高い「天井川」です

 

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道具は鍬とスコップ。

土は乾いているように見えますが、そうとうぬかるんでいます。

なので、水を外に出すために周囲に溝を掘ります。

 

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溝を掘り進みます。土は泥に近く重い。

水がじんわりじわじわにじみ出ています

 

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一辺の溝掘り完了。

にじみ出た水が溝に溜まり、一枚下の田んぼへと流れをつくり始めています

 

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横を流れるせせらぎではありません。掘った溝です。

空堀が濠状態に

 

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溝が濠のままでは黒豆畑は乾きません。

溝に流れる水を下の田んぼに落とします

 

 

この棚田はその昔、モンペトクワがこの地で米作りを始めるはるか昔、

田んぼでした。

だから、段々畑ではなく棚田。

なので、溝を掘っていると、田植えの時期には水を入れ、その水をとどめ、

稲刈りに向けては水を出し、田んぼを乾かす、という田んぼにとって必然の跡が現れてきます。

下の田んぼとの段差部分には水を止めていただろう岩や、暗渠のつもりであったかもしれない土管が表われ、ぬかるみの中の難工事になりました。

 

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右側の大きな石のあたりが、黒豆畑になる上の畑との境目の段差

この岩の横に土管が埋まっていました

 

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その土管を掘り出し、下の田んぼにも溝を掘ります。

写真右側に天井川。その流れへ合流させるべく

 

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ようやく天井川へと溝が貫通。

ここで天井川はわずかの距離ながら天井川ではなくなります。

この落差を黒豆畑の排水に利用します

 

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振り返ればこの通り。第一期工事完了。

 

言い出しっぺの丁稚は諸般の事情とやらで来ず。

「やっぱりなぁ…」と空を仰ぐ丁稚もおりましたが、

第二期工事に向けて晴天を祈りましょう。