かえる店長のもんぺとくわブログ

きれいな水と元気な土、天日干しで、お米を作っています。

丹波栗の凍害対策「株ゆるめ(断根)」(2015年11月9日)

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フォーク形アタッチメントを装着したユンボが栗畑に登場

 

日は遡ります。
11月9日(月)、モンペトクワの栗畑において凍害対策実演会が行われました。
去年の12月4日に第一回が開催され、今年は二回目です。
栗は苗木を栗畑に定植してからの幼木の間、凍害に遭うと、枯れます。
ほぼほぼ枯れます。

モンペトクワでは栗の定植後、「枯れない対策」ではなく「枯れたら救済」でした。凍害を防止する確実で簡便な方法がなかったからです。

凍害は栗が発芽を迎える春になって明らかになります。
枝の肌がざらざらした鮫肌状になり、色は黒っぽく、樹皮を削ると甘いアルコール臭がします。芽は出ることは出るのですが緑色にならずに枯れます。
この症状が表れるのが春。
そこで、春を待たずして幾度となく枝先を調べ、おかしいと思ったら木肌を削って臭いを嗅ぎ、凍害に遭った枝を切除して全体への広がりを抑えます。
が、枯れることもあります。
植えた栗の木の半分が枯れることも珍しくありません。

さて、苗木を定植して4回目の秋を迎えた昨年、幸いにも凍害で枯れた木は60本のうち4本に留まっていました。
樹高は伸びたとはいえ、まだ凍害を警戒しなければならない幼木。
株元の地面を糖蜜でコーティングするという方法もあるんやけど…。
動物を誘うようなもんやしなぁ…。
と、栗畑を眺める日が過ぎていつしか12月、
兵庫県立農林水産技術総合センター 農業技術センター 農産園芸部が、
これなら枯れない!と第一回凍害対策実演会をモンペトクワの栗畑で実施することになり、丹波栗農家の方々も集まっての実演会が開かれたのであります。

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フォークを栗の株元近くに深く差し込んで、土とともに栗の木を持ち上げ、細かい根を切ります

 

モンペトクワの栗畑がある集落には、江戸時代にペリーさんが持ってきた蒸気機関車(遊園地タイプ)なるものを見て驚いたものの、図面を見て、これなら造れるかもしれぬ、とペリー在日中に造ってしまった、というような日本人のDNAを持つ方がいらして、造りました、フォーク形のアタッチメント。
力強い爪がユンボのバケットにがっちりと。
じつは、この「なんでんかんでんの匠」の技のおかげで昨年の株ゆるめが実施の運びとなったのです。
しっかりとその恩恵を受け、今年の春、凍害で枯れたのは一本。
台木が助かっているので接ぎ木をしました。

株ゆるめ(断根)は、水ぬるむころの根からの吸水を抑えることで枝の水分を低く保ち、耐凍性を高めます。

春に向けての三寒四温が凍害の原因で、つまり、モンペトクワの栗畑は山間の傾斜地にあるもと田んぼ。

思いっきり水を切る大がかりな工事を施したものの(これもまた、なんでんかんでんの匠のお世話になりました)、栗にとって「適地」ではないということになります。
それでも、栗を植えたいというモンペの願いは、幸いにも、試験場や大学などとともに丹波栗の栽培と普及に長きにわたって努めてこられた農園の指導を受けることができ、先人の知恵、各関係機関への働きかけ、なんでんかんでんの匠、いろいろな方々の尽力があってかなおうとしています。
愛を受けてモンペトクワの栗は育ちます。
多謝。