かえる店長のもんぺとくわブログ

きれいな水と元気な土、天日干しで、お米を作っています。

アゾラ広がる田んぼの補植は補色の景色(2019年5月11・12日)

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田植えの後、欠株(苗が植わらずに欠けているところ)に補植をします


今年は桜が咲くころの気温が低く、その寒さが続いたせいか、苗の育ちが遅れました。
背が低い苗あり、スレンダーな苗あり、根の張り具合が昨年に比べるとイマイチという苗もあり。
それが原因とはいえませんが、そういう要因をもんぺはもろに受けます。
普段の田んぼの維持管理、田植え直前の田んぼの整え方、田植えそのもの---、諸々。
まだまだお尻が青い。
そんなこんなで田植機で植えた後の田んぼを見ると欠株が多い。
田植え後の田んぼにはちろちろと水をあてるのですが、苗はそのわずかな水の動きに流されることもあれば、そよぐ風に持っていかれもします。
なので、田んぼに補植に入ります。

 

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もんぺの田んぼのひとつ「八幡田」は除草剤を使っているので浮草のアゾラの姿はありません

 

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慣行農法で米を作っている田んぼにはびこるアゾラ。除草剤を撒いたので緑色だったアゾラが赤く枯れ始めています

 

慣行農法という言葉があります。
「かんこうのうほう」と読みます。
その地域で一般的に行われている生産方式のことで、物の本には『各地域において農薬、肥料の投入量や散布回数などにおいて相当数の生産者が実施している一般的な農法のこと』とあります。

もんぺが除草剤等の薬や化成肥料を使わずに米を作っている田んぼは、写真の田んぼの下にある一枚だけです。
写真の田んぼは八幡田同様、慣行農法で米を作っています。
なのにアゾラが出ます。
アゾラが無農薬の指標にならないことはエビデンスがありますが、この田んぼを見てもわかります。

アゾラはこれまで、田植えの時期には現れませんでした。
田植えが終わってから田面に広がり雑草を抑えてくれていました。
ところがここ数年、気温の上昇とともに田植え前からアゾラがはびこるようになりました。それも分厚い。
そのために田植え時には水をしっかり抜かないと、アゾラの波が苗を押し流したり苗にかぶさったりしてしまうので、補植とともにレスキューが求められていました。

そうでなくてもすること多いのに---。

ご近所の方々も気にかけてくださって。

今年は稲刈りの後、教えを受けながら、対策を講じることにしています。

 

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右に写っているのが石油に依存しない米栽培の田んぼです


4人で補植に入り夕方に終わりました。

やれやれと見渡せば赤い田んぼに苗の緑が点々と。
「補色やなぁ」と懲りない面々でありました。

晴天の田植え(2019年5月4日)

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アゾラが田面にぴたっと張り付くまで水を落とします

 

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草を刈り、刈った草を集めて「草壺」に敷き詰めるのは日常の作業

 

田んぼの水を落とすために暗渠の水を抜くという(もんぺとしては)暴挙に出ました。
特に浮遊性の水性シダのアゾラが繁殖する「アゾラ田」は、アゾラがぴたっと田面に張りつくまで水を落とす必要があります。
田植機についているサイドフロートが、田植機の前進とともに水を押すので、水だけならどうということはないのですが、アゾラがその波に乗ると植えたばかりの苗を倒してしまうからです。

 

ついでながら上の写真で草を運び込んでいる「草壺」は、伝統的な農業設備「野壺」とニアリーイコールです。

集めた草を、アゾラ田の一方の枕地を草壺として、そこに敷き詰めています。
枕地というのは耕耘機やトラクターなどが切り返す(旋回する)場所です。
切り返すときにタイヤが土を大きくえぐるので深くなりがちです。何度もえぐると土は粘土状になりやすく、深くなるので乾きにくく、双方の関係で稲刈のときに苦労します。

水路から田んぼに入る水はこの草壺に一旦入ってから田んぼへと流れ出ます。
また草壺と田んぼとの間に設けた土の壁には数箇所凹みを作っているので、草壺で水に溶けた草の消化液が田んぼに流れ出します。じんわりと、絶えず。メタン発酵消化液なので、くさい。草だけでこんなに匂うのかというほどです。

黄昏の田植え(2019年5月3日)

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ファイナルラップ

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欠株の点検

 

田植えを予定していた日の数日前から雨となり、田んぼの水がなかなか落ちず。
もともと水溜まらず水落ちずの田んぼですが、
断続的な雨となると、なんぼ溜まらんとは言え満水状態に。
しかもオーバーフローして隣の田んぼに注ぐという事態に。
そして溜まった水は抜けません。
田んぼの管理や取水、排水など、要領が悪いこともあります。
で、この日は二つの田んぼの田植えを済ませる予定だったのですが、
たそがれめいてきたので、本日の田植え、一枚にて終了。

粗鋤きそして代かき(2019年4月27・28日)

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この日は春の嵐。一天にわかに掻き曇ることしばしば

 

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日没のころ。代をかいた田面に映る家の灯がきれい

 

年々、夏が早く暑く長くなるようで。
稲刈りのころには長雨と台風に涙することも増え。
そんなことから「今年の田植えは早よしょ」と既に田植えを済ませたところも。
もんぺは例年通り4月末に田植えの準備を終わらせ、5月の初めに田植えです。
といっても、もんぺあたりはよそに比べて早いと思います。


全部で四反あまりの田んぼですが、粗起こし、粗鋤き、代掻きと、トラクターに乗り続けます。
それはそれでしんどいのですが、耕耘機で鋤いていたことを思えば楽になりました。
田植えに向けて、まずは、おつかれさま。

それぞれの春一日(2019年4月21日)

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庭の片隅にチューリップが。なんでこんなところに?不思議---

 

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庭のあちこちにシャガ。学名はアイリスジャポニカ

 

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木の幹に毎年咲くスミレ

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今年二回目のタケノコ掘り

 

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四つある田んぼの残り一つを鋤いています。来週は田植えです

 

花を愛でる人、タケノコを掘る人、ひたむきに田んぼを鋤く人。
それぞれの春の一日。

イノシシの親子出没(2019年4月20日)

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もんぺの田んぼのひとつ、八幡神社のそばにある「八幡田」で網張り

 

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数年前はこの網にシカが引っかかって、たいへんなことに

 

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昨年は八幡田と道を挟んだ田んぼでイノシシが暴れました。それも稔りの秋に

 

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網を張り終えてほっ。しかし、イノシシのミミズ探しは広範囲に及んでいることが判明

 

土曜日の朝、「八幡田にイノシシが入ってるよ」との報せを受けて行ってみると、田んぼの中、畦に沿ってイノシシらしき足跡がぐるり。

畦の土をぐいぐいと鼻でほじくった痕跡がある、ある、ある。
足跡に大小があるということは、子連れだわ。
ということで、急いで網を張りました。
八幡田は池の下。

もっともではありませんが、集落では山に近いところにある田んぼなので、イノシシも人の目にふれにくく活動しやすい。
栗園も池の下にあり、山際でもあるのでイノシシ大活躍---。

ところが、事態は深刻であることがわかってきたのです。

池の下ばかりでなく、そこらじゅうの田んぼで足跡が発見されたのです。
もんぺが米を作って十数年。

こんなことは今までなかった。
田植えを控えて早々、頭を抱える事件発生です。

アカハラと万葉集の関係(2019年4月13日)

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田んぼの明渠(めいきょ)の水がぬるんできたのか、アカハラがあちらこちらでランデブー。
上からじっと見ていると、♂らしきアカハラが♀らしきアカハラに近付いて、尻尾の付け根あたりに頭をくっつけ、くんくんと匂いを嗅ぐような行動をとります。
求愛行動なのだろうか?
しばらくすると、♂はごそごそと移動して自分の頸部で♀の頭を抱え込み---。
求愛ダンスが始まるのかもしれない、どきどき---。
しかしながら、このときお二人はのぞき込む観察者の気配に気づいたのか、一瞬にして水の中に土煙を残して消えました。

 

腹部が赤いのでアカハライモリとも呼ばれるニホンイモリは、古くから媚薬などのイメージがありますが、アカハラ自身には交接器官がなく、♂が精包を水底に落として♀に渡し、♀が総排出口から体内に取り入れます。
カエルとは違って体内受精なんですね。
このランデブーのときに♂が放つフェロモンが、生物のフェロモンとして初めて確認された「ソデフリン」なのです。
ホルモンの名の由来というか出典は万葉集。そう、今をときめく万葉集

『あかねさす紫野行き締めの行き野守は見ずや君が袖振る』
「袖振る」で「ソデフリン」。
ついでながら、野守は「のもり」で「やもり」ではありません。

 

アカハラ額田王とは真逆で、生きることがあまりじょうずではありません。
餌の採取がはっきり言って、へた。
オタマジャクシよりも泳ぐのが遅いので、獲物が逃げたら追いつけません。
だから、モリアオガエルの卵の下でオタマジャクシが落ちてくるのを待つこともあるのですが、もちろん、ほかの生物もやってきます。

ほとんどがアカハラよりも体が大きいニョロさんです。

餌にありつけるのは夢物語。
それに、アカハラは大人になるまでの約二年は陸で暮らします。
水が苦手で小さな水たまりでも溺れます---。

 

それなのにか、それだからか、脊椎動物としては特別な再生能力を持っています。
尾はもちろん、四肢を肩の関節より先で失っても指先まで完全再生。

目の水晶体も、心臓の一部を失っても元に戻ります。

大人のアカハラの体内ではiPS細胞と似たような現象が起きているそうです。

絶滅しないで生き続けてほしいと心から願っています。