籾摺じっちゃんと釜爺
さてさて、いよいよ、籾槢機の登場です。
木製のボディ(?)にエンジン搭載。それに籾摺機がくっついています。
走行時と籾槢機の駆動時とでベルトをかけかえます。
で、これが、このまんま走ってくる
初めての籾摺当日は少しばかり緊張しました。
何故かというと籾摺じっちゃんに世話になるからです。
モンペトクワがある霧海の里には農会がありまして、
農会が一台の籾槢機を維持管理しています。
「◯月◯日の◯時に籾摺をお願いします」と、
籾摺じっちゃんの家に電話して、当日、到着を待ちます。
籾摺じっちゃんは「じっちゃん」だけに、
おそらく相当の経験と厳しい目を持ったはる…。
モンペトクアのお米はどう目に映るのだろうか。
長ぁく伸びている太いパイプはつぎはぎだらけ。
この中を籾殻が飛んでゆきます
待ちかねていると畦の向こうに突然現れた物体。
物体としか形容できない何か奇妙なものが、
どっどっどっとエンジンの音を響かせて近づいてきます。
白い煙を吐きながら。
前屈みで、長い手を何やら下に伸ばして、人が乗っているし。
ありゃ、なんや? 目が点。
映画『千と千尋の神隠し』に出てくる釜爺の姿が
脳裏をかすめたのでありました。おそらく、ほぼ間違いなく、
全員の頭ん中を、です。えんがちょ…。
それが、籾槢機そのものと認識できるまで、数秒、かかりました。
どこかしら「みずかき」(2012年6月8日掲載)と同じ匂いがあります。
蒸気機関車、自動織機って感じで、感動します。
籾摺じっちゃんは釜爺のように、
「気まぐれに手ぇだして人の仕事、とっちゃならねぇ」、
なんてこわくありませんでした。ほっ
籾殻は勢いよく飛んでみるみる山をつくります。
籾殻は田んぼに戻します
籾槢機からは、籾殻が外れた玄米が出てきます
粒が小さかったり、割れていたり、軽かったりというようなお米は
「屑米」と呼ばれ、選別されます。
屑米の量もよいお米ができたかどうか、判断材料のひとつ。
籾摺じっちゃんは、籾槢機の排出口から出てくる玄米を手に取り、
そしてかじり、「うん、よい米ができとる」とひとこと。
一同胸をなでおろすのでありました。
これで、終わりかというと、さにあらず。
籾摺後の玄米を次はライスグレーダー(米選機)に通して、
またも選別。
ここでも未熟米や小米などが取り除かれて、
やっとこさ「新米」となります。
こうして、およそ5か月に及ぶ米作りにピリオドが打たれたのであります。